先日ミラノで行われたEULAR2023のon demond配信をぼちぼち見れているので、自分の中でまとめる意味も込めて記事にしてみる。
今回は痛風の患者で冠動脈のdual energy CT(DECT)を施行したところ、86.4%にMSU(monosodium urate=尿酸塩)が沈着していていたことを受けてそのCVリスクに関して調査した研究を紹介する。
・この研究は心血管に対するMSUの沈着がMACEにどのような影響をもたらすかを調査された。
・189人の痛風疑いの患者にDECTを施行、うち131人に痛風の臨床診断があり、50人にはTophi(痛風結節)を認めた。
・結果35人にMACEが起こり、特にCV MSU depositのある患者に多かった(MSU+ 22/85(26%) vs MSU-13/104(13%)P<0.05)
冠動脈の石灰化の主成分はハイドロキシアパタイトとされ、今日的にはそのアーテファクトを抑えるためにDECTが使用されているようだが、まさかのMSUの沈着が捕まった。またDECTは弁膜症の評価や心筋症の評価にも使用されているようで今後の臨床応用が期待されるようで、これからさらに遭遇する可能性はありそう。
またMSUは最近では関節以外にも水晶体や足の腱(前脛骨筋・長母趾屈筋腱・アキレス腱・腓骨筋腱)だけでなく血管壁の石灰化にも沈着していることが死体の研究でわかっている。
CVリスクの高い患者にコルヒチンやカナキヌマブが効果を有するのにはMSUが関連しているのかもしれない。今後我々も冠動脈疾患の管理に一助できるかもしれない。
https://academic.oup.com/eurheartj/article/42/28/2761/6288115