膠原病内科日記

膠原病・不明熱・間質性肺炎に関して勉強します。X:https://x.com/rheumafuoild/

IgG4関連疾患における血清IL-6上昇

IgG4関連疾患(IgG4RD)と多中心性キャッスルマン病(MCD)は臨床的にも組織学的に鑑別がむずかしい。IgG4RDではCRPが上昇しにくいことが鑑別になると考えられているが、その上流であるIL-6に関してはあまりしらなかった。 今回IL-6上昇を伴うIgG4RDと考えられる…

Pubmed検索式&メールアラートの作成

今回は趣を変えて、研修医の先生や後期研修医なりたての先生方向けに私が毎日論文をよむソースとなっているPubmedのメールアラートの作成方法と日々収集・作成したpubmedの検索式を共有さえていただければと思います。内科ですごい知識あるな、って人はほぼ…

免疫チェックポイント阻害薬使用時の併存する自己免疫性疾患に対する免疫抑制剤の考え方 参考: Ann Oncol . 2020 Jun;31(6):724-744.

・化学療法中のリウマチ患者の治療に関してはほぼ定まったものがないのが現状であるが、一般的に従来の抗がん剤治療(殺細胞薬)が使用される場合、血球減少などの副作用もあり免疫抑制剤や生物学的製剤は中止される傾向にあった。 https://pubmed.ncbi.nlm.ni…

RAの分類基準

" data-en-clipboard="true"> Classification of rheumatoid arthritis: is it time to revise the criteria? | RMD Open を読んだ。 ============================================================= " data-en-clipboard="true">▪️関節リウマチ(RA)の診断…

巨細胞性動脈炎の拡散強調像での簡便な診断方法に関する研究

巨細胞性動脈炎(GCA)の診断においては側頭動脈生検と超音波検査がゴールドスタンダードとされており、その代替として造影血管MRI(3テスラ、T1-BB)が推奨されており、感度80%、特異度100%と報告されている。 今回拡散強調画像を用いて簡便にGCAを診断する方法…

NSAIDsに対する反応性で慢性腰痛患者の中からaxial SpAを区別可能か?

今年に入りARDでリウマトロジストの慢性腰痛患者におけるaxial SpAの診断率に関する論文が出版されたが、その中で慢性腰痛の中からaxial SpAを見分けるポイントとして"NSAIDsの反応性"が抽出されていた。 Can rheumatologists unequivocally diagnose axial …

Fever of unknown origin (FUO) と Inflammation of unknown origin (IUO)の違いに関するSR/MA -FUOとIUOで最終診断は異なるか?-

最近ばんばん不明熱研究を出版しているUniversity Hospitals LeuvenのAlbrecht Betrains先生の新作。 Comparison of diagnostic spectrum between inflammation of unknown origin and fever of unknown origin: A systematic review and meta-analysis 今ま…

【まとめ】低ALP血症の鑑別

" data-en-clipboard="true">CPPDの原因として低ホスファターゼ血症が知られている。 今回低ALP血症を伴う偽痛風を経験したので、低ALP血症についてまとめた。 ==================================== ・ALPはアルカリ性…

【まとめ】成人発症IgA血管炎

IgA血管炎は別名"アレルギー性紫斑病"や"ヘノッホ・シェーンライン紫斑病"とも言われる主に小児で発症する血管炎である。しかし稀ながら成人でも発症し、成人例では小児例と違った臨床像を呈すことも多い。また小児ではvirusに随伴したものや特発性が多いが…

PMRの炎症の首座=perimysium/peritendiumの炎症?

" data-en-clipboard="true">リウマチ性多発筋痛症(PMR)といえば"滑液包炎"という印象もあり、関節リウマチと比較する上でも身体所見・画像所見双方で重要視されてきた。滑液包炎も確かに重要であるが、上腕二頭筋長頭や膝下筋腱、腱板炎などの炎症、果ては…

VEXAS症候群と他の空胞が出現する疾患とのスメアの違い

VEXAS症候群は2020年にNEJMで初めて報告され、世界中でどんどん報告が増えている疾患であるが、日常臨床でも普通に出会う。 VEXASの特徴として骨髄のスメアで未熟な細胞に空胞が出現することが特徴であるが、銅欠乏や慢性炎症でも出現するため区別が難しい。…

Eosinophilic Giant Cell Arteritis

" data-en-clipboard="true"> pubmed.ncbi.nlm.nih.gov " data-en-clipboard="true">若年者ではjuvenile temporary arteritis with eosinophiliaというGCAの類縁疾患と考えられている疾患があり側頭動脈の好酸球性炎症が特徴とされているが、GCAにおいてもあ…

トシリズマブ使用中に感染症を示唆する症状がある場合には好酸球に注目することで感染症を予測できる、かも?

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov デザイン: 単施設・後ろ向き研究 トシリズマブ(TCZ)使用中に感染症の疑いで予定外の入院した患者(2009-2020) →好酸球数、CRP、好中球数、、リンパ球数、Eo/Nx1000の識別能をAUCで評価した。 リザルト: TCZで治療を受けた163人中41…

IgG4関連疾患のκ/λ ratioは増加することがあり、Mタンパク陽性とみられることもある。

IgG4関連疾患(IgG4RD)でfree light chain(FLC)の比が偏った症例を散見する。しかも電気泳動検査でMタンパクを考えるバンドを認めることもある。しかしながら骨髄はintactで恐る恐るIgG4RDとして加療してみる。 これはほっておいてもいいのだろうか? 今回IgG…

好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)とCK上昇、筋炎

先日行われた関東リウマチ地方会でEGPAと炎症性筋炎(の病理像)が合併した症例が報告されていた。実臨床でも他のANCA関連血管炎の筋痛や大血管炎に伴う下肢筋炎様症状の際にはCK上昇を認めないことが多いが、EGPAではCK上昇する例も散見されると思っていたた…

MPAやGPAにおける診断時の好酸球数と臨床的特徴

" data-en-clipboard="true"> pubmed.ncbi.nlm.nih.gov " data-en-clipboard="true">韓国からの研究 P: 治療介入前のMPAとGPA(wattsのアルゴリズムとrevised CHCC2012により診断/基本的にACR・EULAR2022 criteriaも満たす)で好酸球が1000/mm3未満の患者 N=22…

骨痛の原因

<マクロ> 痛みの経路 " data-en-clipboard="true">骨は主にCGRP+C線維とAδ線維によって支配されている。またNGFを媒体するTrkA(トロポミオシン受容体キナーゼA)受容体を発現する骨支配神経ニューロンは関節や皮膚・筋肉など他の組織の神経を支配するニューロ…

【まとめ】ARS抗体の各抗体プロファイルごとの症状

" data-en-clipboard="true">ARSはアミノアシルtRNA合成酵素(Aminoacyl-tRNA Synthetase)の略でこれらの酵素に対する抗体がARS抗体である。その中でARS関連症候群(ASS)に関連しているとされる8種類の抗体が報告されていたが、2023年に入り新規に新しい抗体が…

sIL2RがB細胞性リンパ腫で上昇するのはなぜか?

可溶性IL2受容体(sIL2R)は別名可溶性CD25であり、IL2aRが遊離したものを測定している。そもそもIL2Rは普段はβ鎖(CD122)、γ鎖(CD132)の複合体で存在しているが、活性化されたT細胞ではα鎖(CD25)が発現しβ鎖(CD122)、γ鎖(CD132)とのヘテロ3量体を構成し親和性…

多発血管炎性肉芽腫症の腎腫瘤病変

多発血管炎性肉芽腫症(GPA)の腎腫瘤病変について。 www.ncbi.nlm.nih.gov 愛知医科大からの報告。 本論文出版時までにGPAに腎腫瘤が合併している24ケースが報告されている。 → 24ケース中21ケースで腎腫瘤の部位に関する記載があり、 " data-en-clipboard="t…

Seronegative RAの最終診断

かなり有名な論文であるが、臨床診断でSeronegative RAと診断された患者の10年間前向きにフォローし、最終的にどのような診断になったかを示した研究。 pubmed.ncbi.nlm.nih.gov " data-en-clipboard="true">1997~2005年に診断された435人の早期seronegative…

【まとめ】コカイン誘発性血管炎

" data-en-clipboard="true">コカイン誘発性の血管炎には大きく2種類が報告されており " data-en-clipboard="true">①cocaine-induced midline destructive lesion " data-en-clipboard="true">と " data-en-clipboard="true">②ANCA血管炎 " data-en-clipboa…

Methotrexate Osteopathy

" data-en-clipboard="true">methotrexate(MTX;メトトレキサート) osteopathyは骨芽細胞機能異常(低い骨形成と高い骨吸収)に伴う臨床的には成長版に沿った帯状の疲労骨折のことを指している。もともとALLに対する高容量MTXで1970年に初め報告されたが、最近…

菊池病の再発と自己免疫性疾患発症のリスク

菊池病と自己免疫性疾患に関しては関連があるとされ、ケースレポートから後むき研究まで様々な媒体で報告されている。特に東アジア人の菊池病ではSLEの発症が多いことが知られている。 Kikuchi-Fujimoto Disease: analysis of 244 cases 181の研究+単施設の…

痛風が自然軽快するメカニズム

" data-en-clipboard="true">MSU貪食後好中球はNetosisを起こす。好中球の密度が高い場合aggrefation NETs(agg NETs)と呼ばれるMSU/DNA結晶を形成するようになる。agg NETsはセリンプロテアーゼを介してサイトカインとケモカインを分解し、痛風の炎症を軽減…

SAPHO症候群と掌蹠膿疱症性骨関節症(PAO)

SAPHO症候群は、Synovitis(滑膜炎)、Acne(ざ瘡)、Pustulosis(膿疱症)、Hyperostosis(骨化過剰症)、Osteitis(骨炎)の頭文字を取り1987年に疾患概念が確立した症候群であるが、1994年にKahnらが分類基準に乾癬を加えたものを発表するなど、その実ヘ…

【まとめ】Hypermobility syndrome・・・関節リウマチ・脊椎関節炎 mimicker

" data-en-clipboard="true">"Hypermobility syndrome"は脊椎関節炎や関節リウマチ、変形性関節症の鑑別になる関節の過伸展性による慢性筋骨格痛を特徴とする結合組織疾患のこと。 " data-en-clipboard="true"> " data-en-clipboard="true">一般人口の最大3%…

関節リウマチにおいてHLADRB1*04:05の保有者でアバタセプトの効果が高かった

shared epitope(SE)のあるHLADRアレルを保有している関節リウマチ患者ではアバタセプトの効果が高いことが知られていたが、今回さらにHLADRB1*04:05で特にアバタセプトの治療反応性が高いことが示された。 www.nature.com 2012/6~2018/8の間に行われたTOBIRA…

【まとめ】流行性筋痛症(Epidemic Myalgia)の3つのタイプ

" data-en-clipboard="true">流行性筋痛症は現在、主に3つのタイプが報告されている。 いずれも原因になるウィルスはエンテロウィルス属に属するウィルスであるため頭痛、咽頭痛や食欲低下や吐き気などの消化器症状、発熱を伴う。咽頭ぬぐい液、血清、便中…

dsDNA抗体陰性のSLEの特徴

SLE

dsDNA抗体はSLEの70-98%に陽性となり、感度57.3%・特異度97.4%と特異性の高い検査となっている。dsDNA抗体は腎炎との関連が指摘されているが、今回2015年に報告されたdsDNA抗体陽性SLEと陰性SLEの症状の違いに関して比較した研究を紹介する。 pubmed.ncbi.nl…