膠原病内科日記

膠原病・不明熱・間質性肺炎に関して勉強します。X:https://x.com/rheumafuoild/

2023-07-01から1ヶ月間の記事一覧

【まとめ】brodie膿瘍

brodie膿瘍とは亜急性骨髄炎の経過で出現する骨内の膿瘍と周囲の骨硬化が特徴的な膿瘍。 www.ncbi.nlm.nih.gov ・男性に多く(2:1)、発症平均年齢は17歳。*高齢者の報告もあり! ・診断まで中央値で12週間。慢性の経過も。 ・好発部位は で、脛骨や大腿骨(特…

【まとめ】HLA B27陰性強直性脊椎炎

欧米と比較し日本ではHLAB27陰性の強直性脊椎炎(AS)が多く、Typicalな症例以外は診断に苦慮したり見逃されていることも多い。 HLA B27陰性ASについてはデータも限られており、今回ACR opne Rheumatologyにreviewが出版されたためまとめた。 pubmed.ncbi.nlm.…

Pneumocystis jirovecii pneumonia(PCP)診断における CT値

PCPの診断において気道検体からの菌体証明がゴールドスタンダードであり、Giemsa染色やその簡易法であるDiff-Quickが使用される。 しかしHIV-PCPと違って生物学的製剤や免疫抑制剤使用に伴うようなnonHIV-PCPでは菌体が少なく染色で証明が難しい場合も多い。…

巨細胞性動脈炎(GCA)における開口障害(trismus)

開口障害といえば破傷風を想起しやすいが巨細胞性動脈炎でも起こりうる。 pubmed.ncbi.nlm.nih.gov → ある研究では18年間に88人のGCA/PMRの患者を診療し、内8人(6.8%)に開口障害が存在した。 開口障害を伴うGCAの患者は眼症状を伴うことが多く(50% vs 27%)、…

【まとめ】封入体筋炎におけるエコー検査の有用性 -深指屈筋と浅指屈筋、腓腹筋とひらめ筋-

封入体筋炎(IBM)では特徴的な筋の萎縮パターンが見られ、その変性に伴うエコー輝度の変化を利用したエコー検査による診断の有用性が報告されている。 SRによるとSn82%Sp98%LR+18であり、かなり有用な検査であるため高齢者の筋力低下、特に上肢は遠位・下肢は…

巨細胞性動脈炎のエコーでの壁肥厚cut off

GCAの分類基準が2022年にEULAR/ACRで改定されたが、そこでHalo signが基準に加わったのは記憶に新しい。 Halo signの明確な基準はないが、巨細胞性動脈炎では血管壁の肥厚が認められることが多く、エコーで内膜・中膜複合体(IMT)を測定することで容易に診断…

関節リウマチと痛風が合併しないという神話。

関節リウマチと痛風が合併しないという神話、聞いたことないだろうか? 耳学問として知ってはいたが、Myth and Pearlで否定されていたのでまとめてみる。 またRAとCPPDはよく合併し、Flare時に鑑別が厄介となる。その違いについてもまとめてみる。 pubmed.nc…

CPPD -沈着の機序-

" data-en-clipboard="true">▪️生理学 " data-en-clipboard="true">生体内の石灰化はハイドロキシアパタイト(HA=Ca+Pi+水酸化イオン)がコラーゲンに沈着することで起こる。 その中でPPi(無機リン酸、陰イオン)は石灰化・骨化阻害因子で本来は防御機構、多く…

EULAR2023④ 強皮症間質性肺炎に対するTAC vs MMF RCT

先日ミラノで行われたEULAR2023のon demond配信をぼちぼち見れているので、自分の中でまとめる意味も込めて記事にしてみる。 強皮症肺 SSc-ILDに対するTaclolimus(TAC)とMMFのOpen labelのRCTの結果が公開された。 P:26人の進行性の肺疾患(FVC>10%低下)を持…

JAK阻害薬におけるCK(creatine kinase)上昇の機序

JAK阻害薬使用中にCK上昇することがよく見られる。臨床試験ではCK上昇のAEは最大15%程度見られている*。 CKレベルは4週ですでに上昇するが、症状が出現したりそれに伴い中止が必要になることも少ない*。 CK上昇の原因についてはわかっておらず、仮説について…

EBNA(IIF)の判定不能の原因

EBNAは間接蛍光抗体補体法(FA)が用いられることが多い。 スライドガラスに固定したヒトEBNA発現細胞と血清中のEBNA抗体を反応させたのちに、補体と反応させ、FITC 標識抗ヒト補体 C3c・ウサギポリクローナル抗体を反応させる。controlとしてEBNA非発現細胞も…

罹病期間による不明熱の鑑別

" data-en-clipboard="true">罹病期間による不明熱の原因は予後を調べた研究。とても勉強になったのでまとめた。 " data-en-clipboard="true">ある程度罹病期間で当たりをつけていくのに参考になる。 " data-en-clipboard="true"> " data-en-clipboard="true…

EULAR2023③ 冠動脈に尿酸結晶???

先日ミラノで行われたEULAR2023のon demond配信をぼちぼち見れているので、自分の中でまとめる意味も込めて記事にしてみる。 jamanetwork.com 今回は痛風の患者で冠動脈のdual energy CT(DECT)を施行したところ、86.4%にMSU(monosodium urate=尿酸塩)が沈着…

【まとめ】菊池病(組織球性壊死性リンパ節炎)

" data-en-clipboard="true">菊池病は稀な疾患であるが病態についてあまり知らなかったのでまとめてみた。 " data-en-clipboard="true"> " data-en-clipboard="true">◾️菊池病の病因 ・病態としては何らかの抗原に対するT細胞性免疫の過剰反応が考えられてい…

EULAR2023② シェーグレン症候群に対する2つの薬剤

先日ミラノで行われたEULAR2023のon demond配信をぼちぼち見れているので、自分の中でまとめる意味も込めて記事にしてみる。 シェーグレン症候群に対する新規薬剤が2剤報告されているので紹介する。 ①Telitacicept TelitaciceptはTACIとFc部分のfusion prot…

無治療で自然軽快する器質化肺炎の特徴

" data-en-clipboard="true">最近日本から自然に治癒する1次性器質化肺炎の報告があったためまとめてみた。 " data-en-clipboard="true"> pubmed.ncbi.nlm.nih.gov ・複十字病院からの報告 ・2016/5-2022/6 ・後ろ向き研究 ・OPは臨床情報に加え画像検査や…

母趾種子骨

第1MTP関節の裏を痛がる患者が来た。さて鑑別は? www.sportsmedreview.com 種子骨炎 症状は第1MTP関節の裏の痛みで、反復刺激の多いサッカー選手やダンサー、ランナーに多いとされる。外側より内側が障害されやすく、伸展で悪化する。 母趾種子骨はflexor h…

ヒドロキシクロロキン(HCQ)の作用機序

" data-en-clipboard="true"> www.nature.com " data-en-clipboard="true">Key point " data-en-clipboard="true">・CQ/HCQは弱塩基であり、リソソームや炎症細胞の中で蓄積されている ・CQ/HCQは分布が大きく半減期が長いために、ゆっくり効果が発現し、服…

血管内リンパ腫(IVLBCL)を予測する因子

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov 臨床的にIVLを疑わない不明熱で ①原因不明の発熱、②意識変容、③Sat≦95%、④血小板<12万/L、⑤LDH>800U/L、⑥sIL2R>5000 のうち2個以下の場合にはランダム皮膚生検を行ってもほとんど陰性かもしれない。 また、皮膚生検は脂肪を含むよう…

手関節における化膿性関節炎と関節リウマチの増悪の鑑別はMRIやエコーで可能か?

www.ncbi.nlm.nih.gov <Introduction> ・化膿性関節炎において46%の患者で既知の炎症性関節炎が存在しており、既知の関節炎の増悪か化膿性関節炎かは臨床上区別が難しいことも多い。(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/3729573/) <Method> ・2006-2011年において182件の手と手関節の</method></introduction>…

Space of parona(parona腔)

Parona腔(4)は前腕部遠位の方形回内筋筋膜(3)と深指屈筋腱腱鞘(8)の間にある空間。 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23571016/ 臨床的にはRadial brusaやUlnar brusaの感染がParona腔に及ぶこと、さらに、その空間が"手の感染症が前腕に広がる導管"として機…

蕁麻疹を伴わないようなMタンパク血症+繰り返す発熱→MGARF?

" data-en-clipboard="true">MGARF:monoclonal gammopathy, arthralgias, and reccurent fever syndrome " data-en-clipboard="true">Sophie Georgin-Lavialleらが2019年に提唱した、皮疹を伴わないschnitzler syndrome(SS)のような疾患。 " data-en-clipboa…

好酸球増多の鑑別(mild, moderate and severe)

好酸球増多症は軽症(500-1500/mcL)、中等症(1500-5000/mcL)、重症(5000/mcL-)に分類されるが、重症度によっての鑑別疾患などについてはあまりまとまったものはないのでまとめてみた。 " data-en-clipboard="true">①Eo=350-3500→軽症-中等症 " data-en-clipbo…

EULAR2023 雑記① JAK1/TYK2 dual inhibitor

先日ミラノで行われたEULAR2023のon demond配信をぼちぼち見れているので、自分の中でまとめる意味も込めて記事にしてみる。 まずはUniversity of GrazのChristian Dejaco氏のClinical Highlightから気になったものをピックアップ。 JAK1/TYK2 dual inhibito…

MDA5抗体陽性間質性肺炎と肺線維症の急性増悪におけるフェリチン値

今回、MDA5抗体陽性皮膚筋炎の一部で見られる急速進行性間質性肺炎(RPILD;Rapidly progressive interstitial lung disease)と、肺線維症(IPF)の急性増悪におけるフェリチン値という一つの指標に焦点を当ててみます。 フェリチンは一般的に体内の鉄貯蔵量を…