膠原病内科日記

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RAの分類基準

Classification of rheumatoid arthritis: is it time to revise the criteria? | RMD Open

を読んだ。

 

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▪️関節リウマチ(RA)の診断基準
ACR/EULAR2010はACR1987の欠点である早期診断(つまり関節破壊が起こる前の、小関節なら1個以上、大関節であれば2個以上の時点での関節リウマチの診断)を行うために開発された。
ACR1987
1. 朝のこわばり:改善に1時間以上かかる
2. PIP、MCP、手、肘、膝、足関節、MTPの左右で計14のうちから同時に3領域以上の関節炎
3. 手、PIP、MCPの少なくとも1領域の関節炎
4. 対称性の関節炎
5. リウマトイド結節
6. RF陽性
7. X線上の手/指関節の骨びらん、近傍の骨萎縮
4項目以上をRAと分類
*1から4は6週間以上持続
ACR/EULAR2010
A.罹患関節
 大関節 1ヶ所 0
 大関節 2~10ヶ所 1
 小関節 1~3ヶ所 2
 小関節 4~10ヶ所 3
 1ヶ所以上の小関節を含む11関節以上 5
B.血清学的検査
 RF-,ACPA- 0
 RFまたはACPA低力価陽性 2
 RFまたはACPA高力価陽性 3
C.急性炎症反応
 CRP正常かつESR正常 0
 CRP異常またはESR異常 1
D.罹患期間
 6週未満 0
 6週以上 1
6点以上をRAと分類
 
感度は上昇したが、特異度は低下した。
 
とくに超早期炎症性関節炎コホート(SAVEコホート)での検証では誤分類された患者の20.5%はRF、またはACPAが陽性であった。大部分がRF陽性であるのに対しACPAが検出される可能性は低かった。
 
→RFとACPAが同じ重み付けなのが原因では?
 
▪️実際の早期関節炎コホートでのRF/ACPAとRAの診断
・SAVEコホートのデータではACPA+/RF+は非常に高い特異性を有していた。*力価に依存なし
・ACPA単独陽性に関してもnon-RAは3/193であり非常に特異的であることがしめされた。
・対照的にRF単独陽性は高力価であってもRAと非RAを区別しなかった。

Application of the 2010 ACR/EULAR classification criteria in patients with very early inflammatory arthritis: analysis of sensitivity, specificity and predictive values in the SAVE study cohort

 
→RFとACPAがおなじ点数なのはどうか?第7回International Congress on Controversies in Rheumatology and AutoimmunityでRFとACPAの重み付けに関する話合いが持たれた。
 
▪️ACR/EULAR 2010の修正案
  1. ACPA- RF低力価陽性はRAに特異的ではない
  2. ACPA- RF高力価陽性はRAを示唆するが特異的ではない
  3. RF- ACPA陽性はRAに非常に特異的
  4. ACPA+RF+のdouble positiveはRAに高度に特異的でACPA単独陽性より特異的
以上をもとに下記の様に提案された。

 

→これを上記のSAVEコホートに適応すると誤分類が79%から47.4%に減少した。
*改良されたスコアリングは関節炎がなくても6点を満たす場合があり注意が必要(基本的には滑膜炎が必要)
 
おまけ
▪️@ risk患者
この患者層はすでに2013年に抗体ごとに層別化されたスコアリングが作成されている。

A prediction rule for the development of arthritis in seropositive arthralgia patients

 

(コメント)

臨床的にはRFとACPAの重み付けがことなり、ACR2010は参考程度になっていたが、ACPAとRFのポイントが異なればより実臨床に近いスコアになるだろう。RF単独陽性の場合最低でも小関節4関節以上、あるいは小関節を1個以上ふくむ11個以上の関節腫脹がない場合RAへの分類が難しくなり、それでいいのかはさらなる検証を待ちたい。