膠原病内科日記

膠原病・不明熱・間質性肺炎に関して勉強します。X:https://x.com/rheumafuoild/

不明熱

Fever of unknown origin (FUO) と Inflammation of unknown origin (IUO)の違いに関するSR/MA -FUOとIUOで最終診断は異なるか?-

最近ばんばん不明熱研究を出版しているUniversity Hospitals LeuvenのAlbrecht Betrains先生の新作。 Comparison of diagnostic spectrum between inflammation of unknown origin and fever of unknown origin: A systematic review and meta-analysis 今ま…

VEXAS症候群と他の空胞が出現する疾患とのスメアの違い

VEXAS症候群は2020年にNEJMで初めて報告され、世界中でどんどん報告が増えている疾患であるが、日常臨床でも普通に出会う。 VEXASの特徴として骨髄のスメアで未熟な細胞に空胞が出現することが特徴であるが、銅欠乏や慢性炎症でも出現するため区別が難しい。…

sIL2RがB細胞性リンパ腫で上昇するのはなぜか?

可溶性IL2受容体(sIL2R)は別名可溶性CD25であり、IL2aRが遊離したものを測定している。そもそもIL2Rは普段はβ鎖(CD122)、γ鎖(CD132)の複合体で存在しているが、活性化されたT細胞ではα鎖(CD25)が発現しβ鎖(CD122)、γ鎖(CD132)とのヘテロ3量体を構成し親和性…

菊池病の再発と自己免疫性疾患発症のリスク

菊池病と自己免疫性疾患に関しては関連があるとされ、ケースレポートから後むき研究まで様々な媒体で報告されている。特に東アジア人の菊池病ではSLEの発症が多いことが知られている。 Kikuchi-Fujimoto Disease: analysis of 244 cases 181の研究+単施設の…

不明熱の発熱パターンと原因疾患

ベルギーから不明熱診療の一助になる必見論文が出版された。 罹病期間による不明熱の鑑別 - 膠原病内科日記の別解析と思われる。 pubmed.ncbi.nlm.nih.gov " data-en-clipboard="true">1949床のベルギーの三次医療機関で行われた2000/1~2019/12の間に長期間…

脊椎関節炎(Spondyloarthritis)は熱が出るか?

一般的にSpondyloarthritis(SpA)は熱が出ないとされている。しかし、不明熱の原因として少数ながらSpAやASが報告されている。 今回2010年から2016年の間に韓国の一病院で確認された有熱性のSpAに関する研究を紹介する。 journals.plos.org 診断時に熱発(≧37.…

VEXASの診断に有用な空砲の数は?

VEXAS症候群はVacuoles, E1 enzyme, X-linked, Autoinflammatory, Somaticの略で2020年に初めてNEJMに報告された。骨髄スメアで好中球や赤血球の前駆細胞に空砲がみられることが特徴的な疾患であるが、空砲自体はMDSや感染症急性期にもみられることがあり、V…

【まとめ】シェーグレン症候群とTAFRO

シェーグレン症候群(Sjögren syndrome; SS)とTAFROが合併しているんじゃないか、と巷では言われていて、2023年までに探しうる範囲で13例の報告がある。 TAFRO syndrome: A severe manifestation of Sjogren's syndrome? A systematic review -13件中10件がア…

ANCA関連血管炎における筋生検

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov Single center, retrospective 1995-2018年の間の276人のAAV(Wattsのアルゴリズムで分類)患者中101人が筋生検を受けた。 結果78人がincludeされ、33人のGPA、25人のMPA、20人のEGPAの内訳であった。患者の58%で血管炎が陽性となった…

家族性地中海熱と血管炎

" data-en-clipboard="true">家族性地中海熱(FMF)の患者では丹毒様皮疹が見られることがあるが、どうも血管炎が合併する症例もあるようだ。日本人では少ない遺伝子型がメインなので、日本人で出るかは不明だが紹介する。 " data-en-clipboard="true"> pubmed…

Polyarteritis Nodosaと血液疾患(hairy cell leukemia、MM、MDS/CMML、VEXAS)

Polyarteritis Nodosaは何らかの背景疾患を持っていることが多く、血液疾患もそのひつつとされている。HBVやHCVや薬剤、血液疾患ではhairy cell leukemiaと関連すると言われている。Kellyに記載されていないところではParaproteinを伴うもの、MDS/CMMLを伴う…

Muscular Polyarteritis NodosaはCK上昇を認めにくい

結節性動脈炎は全身の中型血管を侵すが、筋肉への血管に障害をきたすサブセットがあり、それを"Muscular Polyarteritis Nodosa"(MPAN)と呼ぶ。 MPANはまれなサブセットであるが、2016年までのliterature reviewと今年の日本よりケースシリーズの報告があった…

【まとめ】brodie膿瘍

brodie膿瘍とは亜急性骨髄炎の経過で出現する骨内の膿瘍と周囲の骨硬化が特徴的な膿瘍。 www.ncbi.nlm.nih.gov ・男性に多く(2:1)、発症平均年齢は17歳。*高齢者の報告もあり! ・診断まで中央値で12週間。慢性の経過も。 ・好発部位は で、脛骨や大腿骨(特…

巨細胞性動脈炎(GCA)における開口障害(trismus)

開口障害といえば破傷風を想起しやすいが巨細胞性動脈炎でも起こりうる。 pubmed.ncbi.nlm.nih.gov → ある研究では18年間に88人のGCA/PMRの患者を診療し、内8人(6.8%)に開口障害が存在した。 開口障害を伴うGCAの患者は眼症状を伴うことが多く(50% vs 27%)、…

巨細胞性動脈炎のエコーでの壁肥厚cut off

GCAの分類基準が2022年にEULAR/ACRで改定されたが、そこでHalo signが基準に加わったのは記憶に新しい。 Halo signの明確な基準はないが、巨細胞性動脈炎では血管壁の肥厚が認められることが多く、エコーで内膜・中膜複合体(IMT)を測定することで容易に診断…

罹病期間による不明熱の鑑別

" data-en-clipboard="true">罹病期間による不明熱の原因は予後を調べた研究。とても勉強になったのでまとめた。 " data-en-clipboard="true">ある程度罹病期間で当たりをつけていくのに参考になる。 " data-en-clipboard="true"> " data-en-clipboard="true…

【まとめ】菊池病(組織球性壊死性リンパ節炎)

" data-en-clipboard="true">菊池病は稀な疾患であるが病態についてあまり知らなかったのでまとめてみた。 " data-en-clipboard="true"> " data-en-clipboard="true">◾️菊池病の病因 ・病態としては何らかの抗原に対するT細胞性免疫の過剰反応が考えられてい…

血管内リンパ腫(IVLBCL)を予測する因子

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov 臨床的にIVLを疑わない不明熱で ①原因不明の発熱、②意識変容、③Sat≦95%、④血小板<12万/L、⑤LDH>800U/L、⑥sIL2R>5000 のうち2個以下の場合にはランダム皮膚生検を行ってもほとんど陰性かもしれない。 また、皮膚生検は脂肪を含むよう…

蕁麻疹を伴わないようなMタンパク血症+繰り返す発熱→MGARF?

" data-en-clipboard="true">MGARF:monoclonal gammopathy, arthralgias, and reccurent fever syndrome " data-en-clipboard="true">Sophie Georgin-Lavialleらが2019年に提唱した、皮疹を伴わないschnitzler syndrome(SS)のような疾患。 " data-en-clipboa…