膠原病内科日記

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NSAIDsに対する反応性で慢性腰痛患者の中からaxial SpAを区別可能か?

今年に入りARDでリウマトロジストの慢性腰痛患者におけるaxial SpAの診断率に関する論文が出版されたが、その中で慢性腰痛の中からaxial SpAを見分けるポイントとして"NSAIDsの反応性"が抽出されていた。
以前よりaxial SpAの診断においてNSAIDs反応性は強調されてきたが、今回axial SpAにおける慢性腰痛に対するNSAIDs反応性の診断的有用性に関する研究が出版された。
結論として、少なくとも長期罹患したxSpA患者においてはNSAIDs反応性で鑑別することは困難なことが示唆された。
 
 
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前向き研究
P:45歳以前に発症したNRS4以上の慢性腰痛を持つAxSpA疑いで三次病院に紹介された患者
→結果的に233人が研究に組み入れられた( axSpA (29%)、非特異的慢性腰痛 (25%)、変性性腰痛 (46%))
*椎間板ヘルニアなど他の原因がある場合には組み入れの段階で除外

 

axSpA患者(ASAS criteriaに則って経験豊かな臨床医の診断)
・平均年齢は42.7歳(SD 10.7)
・腰痛の平均症状継続期間は15.1年(SD 11.1)年
・57.4%が男性
・平均 BASDAI は 5.5 (SD 1.8)
・平均 BASFI は 4.5 (SD 2.5)
・IBP(ASAS) 61.8%
・平均NRS 5.9
 
非 SpA 腰痛患者
・平均年齢は 49.3 (SD 11.1) 歳
・腰痛の平均症状持続期間は 14.6 (SD 11.9) 年
・19.4% が男性
・IBP(ASAS) 46.7%
・平均NRS 6.3

 

 

E:48時間のwash out期間を経たあとNSAIDs (最大量 種類はなんでもよい)を組み入れ2時間後から開始
セレコキシブ 63.5%、ナプロキセン 20.2%、アセメタシン 12.9%、イブプロフェン 3.4%
前年に最大用量のNSAIDを使用した患者は除外
 
結果:
・NSAIDs に対する「何らかの反応」は、NRS が 2 単位を超える腰痛の改善として定義され、「良好な反応」はベースラインと比較して 50% を超える改善として定義された

 

 
sub group
①IBP→差なし

 

CRP→差なし

 



(コメント)

NSAIDsの反応性は教科書的には重要視されているが実臨床ではそんなんで区別つくのか?と思っていたが案の定の結果だった。(4週時点では差があるようにも見えるが非SpA群も反応性あるためこれだけの鑑別は困難)

キャラクターに目を向けるとCRPやHLA B27も顕著な差はないため、診断は難しい印象。

発症早期のaxial SpAの研究が待たれるところ。