膠原病内科日記

膠原病・不明熱・間質性肺炎に関して勉強します。X:https://x.com/rheumafuoild/

診断

RAの分類基準

" data-en-clipboard="true"> Classification of rheumatoid arthritis: is it time to revise the criteria? | RMD Open を読んだ。 ============================================================= " data-en-clipboard="true">▪️関節リウマチ(RA)の診断…

巨細胞性動脈炎の拡散強調像での簡便な診断方法に関する研究

巨細胞性動脈炎(GCA)の診断においては側頭動脈生検と超音波検査がゴールドスタンダードとされており、その代替として造影血管MRI(3テスラ、T1-BB)が推奨されており、感度80%、特異度100%と報告されている。 今回拡散強調画像を用いて簡便にGCAを診断する方法…

NSAIDsに対する反応性で慢性腰痛患者の中からaxial SpAを区別可能か?

今年に入りARDでリウマトロジストの慢性腰痛患者におけるaxial SpAの診断率に関する論文が出版されたが、その中で慢性腰痛の中からaxial SpAを見分けるポイントとして"NSAIDsの反応性"が抽出されていた。 Can rheumatologists unequivocally diagnose axial …

【まとめ】低ALP血症の鑑別

" data-en-clipboard="true">CPPDの原因として低ホスファターゼ血症が知られている。 今回低ALP血症を伴う偽痛風を経験したので、低ALP血症についてまとめた。 ==================================== ・ALPはアルカリ性…

PMRの炎症の首座=perimysium/peritendiumの炎症?

" data-en-clipboard="true">リウマチ性多発筋痛症(PMR)といえば"滑液包炎"という印象もあり、関節リウマチと比較する上でも身体所見・画像所見双方で重要視されてきた。滑液包炎も確かに重要であるが、上腕二頭筋長頭や膝下筋腱、腱板炎などの炎症、果ては…

VEXAS症候群と他の空胞が出現する疾患とのスメアの違い

VEXAS症候群は2020年にNEJMで初めて報告され、世界中でどんどん報告が増えている疾患であるが、日常臨床でも普通に出会う。 VEXASの特徴として骨髄のスメアで未熟な細胞に空胞が出現することが特徴であるが、銅欠乏や慢性炎症でも出現するため区別が難しい。…

トシリズマブ使用中に感染症を示唆する症状がある場合には好酸球に注目することで感染症を予測できる、かも?

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov デザイン: 単施設・後ろ向き研究 トシリズマブ(TCZ)使用中に感染症の疑いで予定外の入院した患者(2009-2020) →好酸球数、CRP、好中球数、、リンパ球数、Eo/Nx1000の識別能をAUCで評価した。 リザルト: TCZで治療を受けた163人中41…

IgG4関連疾患のκ/λ ratioは増加することがあり、Mタンパク陽性とみられることもある。

IgG4関連疾患(IgG4RD)でfree light chain(FLC)の比が偏った症例を散見する。しかも電気泳動検査でMタンパクを考えるバンドを認めることもある。しかしながら骨髄はintactで恐る恐るIgG4RDとして加療してみる。 これはほっておいてもいいのだろうか? 今回IgG…

【まとめ】ARS抗体の各抗体プロファイルごとの症状

" data-en-clipboard="true">ARSはアミノアシルtRNA合成酵素(Aminoacyl-tRNA Synthetase)の略でこれらの酵素に対する抗体がARS抗体である。その中でARS関連症候群(ASS)に関連しているとされる8種類の抗体が報告されていたが、2023年に入り新規に新しい抗体が…

sIL2RがB細胞性リンパ腫で上昇するのはなぜか?

可溶性IL2受容体(sIL2R)は別名可溶性CD25であり、IL2aRが遊離したものを測定している。そもそもIL2Rは普段はβ鎖(CD122)、γ鎖(CD132)の複合体で存在しているが、活性化されたT細胞ではα鎖(CD25)が発現しβ鎖(CD122)、γ鎖(CD132)とのヘテロ3量体を構成し親和性…

多発血管炎性肉芽腫症の腎腫瘤病変

多発血管炎性肉芽腫症(GPA)の腎腫瘤病変について。 www.ncbi.nlm.nih.gov 愛知医科大からの報告。 本論文出版時までにGPAに腎腫瘤が合併している24ケースが報告されている。 → 24ケース中21ケースで腎腫瘤の部位に関する記載があり、 " data-en-clipboard="t…

Seronegative RAの最終診断

かなり有名な論文であるが、臨床診断でSeronegative RAと診断された患者の10年間前向きにフォローし、最終的にどのような診断になったかを示した研究。 pubmed.ncbi.nlm.nih.gov " data-en-clipboard="true">1997~2005年に診断された435人の早期seronegative…

【まとめ】コカイン誘発性血管炎

" data-en-clipboard="true">コカイン誘発性の血管炎には大きく2種類が報告されており " data-en-clipboard="true">①cocaine-induced midline destructive lesion " data-en-clipboard="true">と " data-en-clipboard="true">②ANCA血管炎 " data-en-clipboa…

SAPHO症候群と掌蹠膿疱症性骨関節症(PAO)

SAPHO症候群は、Synovitis(滑膜炎)、Acne(ざ瘡)、Pustulosis(膿疱症)、Hyperostosis(骨化過剰症)、Osteitis(骨炎)の頭文字を取り1987年に疾患概念が確立した症候群であるが、1994年にKahnらが分類基準に乾癬を加えたものを発表するなど、その実ヘ…

【まとめ】Hypermobility syndrome・・・関節リウマチ・脊椎関節炎 mimicker

" data-en-clipboard="true">"Hypermobility syndrome"は脊椎関節炎や関節リウマチ、変形性関節症の鑑別になる関節の過伸展性による慢性筋骨格痛を特徴とする結合組織疾患のこと。 " data-en-clipboard="true"> " data-en-clipboard="true">一般人口の最大3%…

【まとめ】流行性筋痛症(Epidemic Myalgia)の3つのタイプ

" data-en-clipboard="true">流行性筋痛症は現在、主に3つのタイプが報告されている。 いずれも原因になるウィルスはエンテロウィルス属に属するウィルスであるため頭痛、咽頭痛や食欲低下や吐き気などの消化器症状、発熱を伴う。咽頭ぬぐい液、血清、便中…

【まとめ】TIPIC症候群

TIPIC症候群は"Transient Perivascular Inflammation of the Carotid artery syndrome"の略で古典的には"Carotidynia"として知られている。 " data-en-clipboard="true">急性の咽頭痛・頚部痛で発症する頸動脈に限局的な血管〜血管周囲炎のこと。高安動脈炎…

不明熱の発熱パターンと原因疾患

ベルギーから不明熱診療の一助になる必見論文が出版された。 罹病期間による不明熱の鑑別 - 膠原病内科日記の別解析と思われる。 pubmed.ncbi.nlm.nih.gov " data-en-clipboard="true">1949床のベルギーの三次医療機関で行われた2000/1~2019/12の間に長期間…

IVIGによる一過性の特異抗体陽転化

" data-en-clipboard="true">IVIGでHBs抗体やHCV抗体が一過性に陽性になったりβDグルカンが陽性になることがあるが自己抗体の陽転化に関してはほとんどわかっていなかった。 Modern rheumatologyに2022年に掲載された東大病院臨床検査部からの報告でその一部…

【鑑別】血疱の鑑別

*いい参考文献がないためpubmedなどの検索結果見ながら小生作成 膠原病領域では好酸球増多を伴う水疱性病変、特に血疱は好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(eosinophilic granulomatosis with polyangiitis:EGPA)に特異的と言われている。が、調べてみると根拠…

VEXASの診断に有用な空砲の数は?

VEXAS症候群はVacuoles, E1 enzyme, X-linked, Autoinflammatory, Somaticの略で2020年に初めてNEJMに報告された。骨髄スメアで好中球や赤血球の前駆細胞に空砲がみられることが特徴的な疾患であるが、空砲自体はMDSや感染症急性期にもみられることがあり、V…

【まとめ】Shrinking Lung Syndrome

SLEにおける稀な肺合併症として"Shrinking Lung Syndrome"がある。 www.ncbi.nlm.nih.gov Shrinking Lung Syndrome(SLS)は進行性の呼吸困難、(多くは片側の)横隔膜挙上、胸膜炎、画像上の肺容積減少(肺実質病変はないにも関わらず!)、拘束性換気障害を特徴…

【まとめ】関節リウマチにおけるアキレス腱炎

アキレス腱炎といえば代表的な付着部炎で脊椎関節炎を想起してしまうが、関節リウマチでも起こしうる。 pubmed.ncbi.nlm.nih.gov 2022年に報告された早期関節リウマチ(152人, 罹患期間の中央値が1ヶ月)における足病変の超音波検査を検討した報告では、患者の…

ANCA関連血管炎における筋生検

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov Single center, retrospective 1995-2018年の間の276人のAAV(Wattsのアルゴリズムで分類)患者中101人が筋生検を受けた。 結果78人がincludeされ、33人のGPA、25人のMPA、20人のEGPAの内訳であった。患者の58%で血管炎が陽性となった…

シェーグレン症候群とIgG4

シェーグレン症候群(SS)とIgG4関連疾患(IgG4RD)はお互いに鑑別が必要な疾患として挙げられるが、シェーグレン症候群でIgG4が上昇する実感がなかったため調べた。 --------------------------------------------------------------------------------- 日本で…

【まとめ】抗リン脂質抗体症候群の新基準(2022 ACR)+副腎出血

(追記20230829) 2022 ACRで抗リン脂質抗体症候群(APS)の新基準のDraftが発表された(ACR convergence 2022 13S150)。 https://acrjournals.onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1002/art.42624 Entry: 下記の6つのドメインのうち最低でも1項目と3年以内に中…

【まとめ】回帰性リウマチ(RP; palindromic rheumatism) -臨床的特徴とエコー所見を中心に-

EULARの自己炎症性疾患のセッションを見ていた時にRAと自己炎症性病態との関連が触れられており、その関連について深めていくと回帰性リウマチに至ったためまとめた。 www.frontiersin.org " data-en-clipboard="true"><疫学> ・RAへの進行率は10-66%、特に…

EGPAと肝障害

好酸球性肉芽腫性血管炎(EGPA)の患者に稀ではあるが治療中に肝機能障害を認め、EGPAによるものか薬剤によるものか判断に苦慮する場合がある。 現時点でのEGPAにおける肝障害のエビデンスをまとめる。 ①EGPAによる肝炎 link.springer.com EGPA既往がある66歳…

【まとめ】皮膚白血球破砕性血管炎(Cutaneous Leukocytoclastic vasculitis)→Cutaneous IgM/IgG immune complex vasculitis

Leukocytoclastic vasculitis(LCV)はゴミ箱診断的によく日常診療で出会う。ただこれ自体が臨床で大きく問題になることは少なく、自然軽快することも少なくない。今回はこの血管炎についてIgA血管炎と比較も交えながらまとめていく。 ▪️診断: <生検> pubmed.…

ピロリン酸カルシウムは超音波検査でアコースティックシャドウを引かない

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov CPP(ピロリン酸カルシウム)とHA(ハイドロキシアパタイト)、MSU(痛風結晶)で濃度勾配を持たせたチューブを作り、CTとエコーでどのように描出されるか検証したstudy。 点線はコントロール。 Aは外観、BはCT、Cはエコー。 HAとMSUでは…