膠原病内科日記

膠原病・不明熱・間質性肺炎に関して勉強します。X:https://x.com/rheumafuoild/

2023-01-01から1年間の記事一覧

好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)とCK上昇、筋炎

先日行われた関東リウマチ地方会でEGPAと炎症性筋炎(の病理像)が合併した症例が報告されていた。実臨床でも他のANCA関連血管炎の筋痛や大血管炎に伴う下肢筋炎様症状の際にはCK上昇を認めないことが多いが、EGPAではCK上昇する例も散見されると思っていたた…

MPAやGPAにおける診断時の好酸球数と臨床的特徴

" data-en-clipboard="true"> pubmed.ncbi.nlm.nih.gov " data-en-clipboard="true">韓国からの研究 P: 治療介入前のMPAとGPA(wattsのアルゴリズムとrevised CHCC2012により診断/基本的にACR・EULAR2022 criteriaも満たす)で好酸球が1000/mm3未満の患者 N=22…

骨痛の原因

<マクロ> 痛みの経路 " data-en-clipboard="true">骨は主にCGRP+C線維とAδ線維によって支配されている。またNGFを媒体するTrkA(トロポミオシン受容体キナーゼA)受容体を発現する骨支配神経ニューロンは関節や皮膚・筋肉など他の組織の神経を支配するニューロ…

【まとめ】ARS抗体の各抗体プロファイルごとの症状

" data-en-clipboard="true">ARSはアミノアシルtRNA合成酵素(Aminoacyl-tRNA Synthetase)の略でこれらの酵素に対する抗体がARS抗体である。その中でARS関連症候群(ASS)に関連しているとされる8種類の抗体が報告されていたが、2023年に入り新規に新しい抗体が…

sIL2RがB細胞性リンパ腫で上昇するのはなぜか?

可溶性IL2受容体(sIL2R)は別名可溶性CD25であり、IL2aRが遊離したものを測定している。そもそもIL2Rは普段はβ鎖(CD122)、γ鎖(CD132)の複合体で存在しているが、活性化されたT細胞ではα鎖(CD25)が発現しβ鎖(CD122)、γ鎖(CD132)とのヘテロ3量体を構成し親和性…

多発血管炎性肉芽腫症の腎腫瘤病変

多発血管炎性肉芽腫症(GPA)の腎腫瘤病変について。 www.ncbi.nlm.nih.gov 愛知医科大からの報告。 本論文出版時までにGPAに腎腫瘤が合併している24ケースが報告されている。 → 24ケース中21ケースで腎腫瘤の部位に関する記載があり、 " data-en-clipboard="t…

Seronegative RAの最終診断

かなり有名な論文であるが、臨床診断でSeronegative RAと診断された患者の10年間前向きにフォローし、最終的にどのような診断になったかを示した研究。 pubmed.ncbi.nlm.nih.gov " data-en-clipboard="true">1997~2005年に診断された435人の早期seronegative…

【まとめ】コカイン誘発性血管炎

" data-en-clipboard="true">コカイン誘発性の血管炎には大きく2種類が報告されており " data-en-clipboard="true">①cocaine-induced midline destructive lesion " data-en-clipboard="true">と " data-en-clipboard="true">②ANCA血管炎 " data-en-clipboa…

Methotrexate Osteopathy

" data-en-clipboard="true">methotrexate(MTX;メトトレキサート) osteopathyは骨芽細胞機能異常(低い骨形成と高い骨吸収)に伴う臨床的には成長版に沿った帯状の疲労骨折のことを指している。もともとALLに対する高容量MTXで1970年に初め報告されたが、最近…

菊池病の再発と自己免疫性疾患発症のリスク

菊池病と自己免疫性疾患に関しては関連があるとされ、ケースレポートから後むき研究まで様々な媒体で報告されている。特に東アジア人の菊池病ではSLEの発症が多いことが知られている。 Kikuchi-Fujimoto Disease: analysis of 244 cases 181の研究+単施設の…

痛風が自然軽快するメカニズム

" data-en-clipboard="true">MSU貪食後好中球はNetosisを起こす。好中球の密度が高い場合aggrefation NETs(agg NETs)と呼ばれるMSU/DNA結晶を形成するようになる。agg NETsはセリンプロテアーゼを介してサイトカインとケモカインを分解し、痛風の炎症を軽減…

SAPHO症候群と掌蹠膿疱症性骨関節症(PAO)

SAPHO症候群は、Synovitis(滑膜炎)、Acne(ざ瘡)、Pustulosis(膿疱症)、Hyperostosis(骨化過剰症)、Osteitis(骨炎)の頭文字を取り1987年に疾患概念が確立した症候群であるが、1994年にKahnらが分類基準に乾癬を加えたものを発表するなど、その実ヘ…

【まとめ】Hypermobility syndrome・・・関節リウマチ・脊椎関節炎 mimicker

" data-en-clipboard="true">"Hypermobility syndrome"は脊椎関節炎や関節リウマチ、変形性関節症の鑑別になる関節の過伸展性による慢性筋骨格痛を特徴とする結合組織疾患のこと。 " data-en-clipboard="true"> " data-en-clipboard="true">一般人口の最大3%…

関節リウマチにおいてHLADRB1*04:05の保有者でアバタセプトの効果が高かった

shared epitope(SE)のあるHLADRアレルを保有している関節リウマチ患者ではアバタセプトの効果が高いことが知られていたが、今回さらにHLADRB1*04:05で特にアバタセプトの治療反応性が高いことが示された。 www.nature.com 2012/6~2018/8の間に行われたTOBIRA…

【まとめ】流行性筋痛症(Epidemic Myalgia)の3つのタイプ

" data-en-clipboard="true">流行性筋痛症は現在、主に3つのタイプが報告されている。 いずれも原因になるウィルスはエンテロウィルス属に属するウィルスであるため頭痛、咽頭痛や食欲低下や吐き気などの消化器症状、発熱を伴う。咽頭ぬぐい液、血清、便中…

dsDNA抗体陰性のSLEの特徴

SLE

dsDNA抗体はSLEの70-98%に陽性となり、感度57.3%・特異度97.4%と特異性の高い検査となっている。dsDNA抗体は腎炎との関連が指摘されているが、今回2015年に報告されたdsDNA抗体陽性SLEと陰性SLEの症状の違いに関して比較した研究を紹介する。 pubmed.ncbi.nl…

リツキシマブで寛解導入されたANCA関連血管炎の12%が3ヶ月の時点でRTX抵抗性だった

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov 2010年〜2020年にかけてフランスの3施設の血管炎コホートに登録された、リツキシマブで寛解導入されたAAV(Chapel-Hill 2012 criteriaでMPA or GPA)を後ろ向きに検討した。 RTX抵抗性は以下の2つに定義された。 ・uncontrolled disea…

【まとめ】TIPIC症候群

TIPIC症候群は"Transient Perivascular Inflammation of the Carotid artery syndrome"の略で古典的には"Carotidynia"として知られている。 " data-en-clipboard="true">急性の咽頭痛・頚部痛で発症する頸動脈に限局的な血管〜血管周囲炎のこと。高安動脈炎…

不明熱の発熱パターンと原因疾患

ベルギーから不明熱診療の一助になる必見論文が出版された。 罹病期間による不明熱の鑑別 - 膠原病内科日記の別解析と思われる。 pubmed.ncbi.nlm.nih.gov " data-en-clipboard="true">1949床のベルギーの三次医療機関で行われた2000/1~2019/12の間に長期間…

TNF阻害薬で寛解しているRAはTNF阻害薬を中止できるか?(ARCTIC REWIND TNFi)

" data-en-clipboard="true"> Effect of tapered versus stable treatment with tumour necrosis factor inhibitors on disease flares in patients with rheumatoid arthritis in remission: a randomised, open label, non-inferiority trial 2023年にARD…

IVIGによる一過性の特異抗体陽転化

" data-en-clipboard="true">IVIGでHBs抗体やHCV抗体が一過性に陽性になったりβDグルカンが陽性になることがあるが自己抗体の陽転化に関してはほとんどわかっていなかった。 Modern rheumatologyに2022年に掲載された東大病院臨床検査部からの報告でその一部…

IgG4関連疾患は多臓器病変があるとChE活性が低下しやすい

" data-en-clipboard="true">IgG4関連疾患(IgG4RD)の病勢を測るものとして ・IgG4 ・IgG4/IgG比 ・補体 ・CRP、ESR ・画像所見 が日常的に使用されているが、確立されたマーカーはなく病勢の判断が難しいことが多い。 その中で日常的にも測定しやすいコリン…

【鑑別】血疱の鑑別

*いい参考文献がないためpubmedなどの検索結果見ながら小生作成 膠原病領域では好酸球増多を伴う水疱性病変、特に血疱は好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(eosinophilic granulomatosis with polyangiitis:EGPA)に特異的と言われている。が、調べてみると根拠…

特発性血小板減少性紫斑病患者のSLE発症を推定するスコア

特発性血小板減少性紫斑病(ITP)患者からSLEを発症する患者群があり、無治療で経過観察している患者でも膠原病発症の可能性を考えフォローすることもある。今回ITP患者でSLEをどのくらい発症するかをまとめてみた。 参考: Development of systemic lupus ery…

脊椎関節炎(Spondyloarthritis)は熱が出るか?

一般的にSpondyloarthritis(SpA)は熱が出ないとされている。しかし、不明熱の原因として少数ながらSpAやASが報告されている。 今回2010年から2016年の間に韓国の一病院で確認された有熱性のSpAに関する研究を紹介する。 journals.plos.org 診断時に熱発(≧37.…

"皮膚症状のない"皮膚筋炎(Dermatomyositis Sine Dermatitis)

皮膚筋炎において主にMDA-5抗体が陽性となる"筋症状のない"皮膚筋炎(ADM:amyopathic dermatomyositis)は合併する肺疾患の病勢の強さから広く認知されているが、最近になってNXP-2抗体が陽性となる"皮膚症状のない"皮膚筋炎(DMSD:Dermatomyositis Sine Derm…

MRIで筋肉に異常信号を認めるMDA5陽性皮膚筋炎は予後がいい

" data-en-clipboard="true">元々筋力低下の見られる患者では予後が良いことが知られており、慈恵医大から皮膚筋炎における筋膜に注目した画像を報告されていた。その中で筋症状が乏しいとされているCADMの筋MRI画像所見に関連した研究が報告された。 " data…

シェーグレン症候群による骨髄Panniculitis

imagebank.hematology.org HT、CKD、シェーグレン症候群の既往のある63歳女性 中等度の正球性正色素性貧血(vitB12、FA、Fe、EPOは正常) 骨髄生検で背景のMultifocalな脂肪織炎を認めた 形態学的な異常は認めず、フローサイト・FISH・染色体・NGS-MDSパネルは…

VEXASの診断に有用な空砲の数は?

VEXAS症候群はVacuoles, E1 enzyme, X-linked, Autoinflammatory, Somaticの略で2020年に初めてNEJMに報告された。骨髄スメアで好中球や赤血球の前駆細胞に空砲がみられることが特徴的な疾患であるが、空砲自体はMDSや感染症急性期にもみられることがあり、V…

セントロメア抗体陽性の間質性肺炎

セントロメア抗体は昔から限局皮膚硬化型全身性強皮症のマーカーとして知られており、特徴的な症状を示すものはCREST症候群と呼ばれてきた。一方で間質性肺炎は起こしにくいとされている。今回セントロメア抗体陽性強皮症の間質性肺炎に関して深掘りしていく…