▪️生理学
生体内の石灰化はハイドロキシアパタイト(HA=Ca+Pi+水酸化イオン)がコラーゲンに沈着することで起こる。
その中でPPi(無機リン酸、陰イオン)は石灰化・骨化阻害因子で本来は防御機構、多くの細胞が産生できる。
具体的な石灰化抑制の機序は無機ピロリン酸(PPi)がHAに結合し結晶の成長を阻害するとともにALP活性を抑制、骨吸収作用のあるOsteopontin(OPN)を発現しHA結晶への無機リン酸(Pi)沈着を抑制することで働く。
細胞外基質におけるPPiの濃度はATPからPPiを産生するectoenzyme nucleotide pyrophosphatase/phosphodiesterase 1(ENPP1)と細胞質から細胞外にPPiを輸送するprogressive ankylosis (ANKH)で調整されている。逆に骨ではALPやtissue non specific phosphatase(TNAP)、Akp2によってPPiはPiに変換され骨化が進む。
▪️CPPD沈着の病態
また低MgではALPの機能低下によりPPi濃度が上昇すると考えられる。低リン血症はCaとPのバランスが崩れることが原因とされているが、はっきりした原因はわかっていない。ヘモクロマトーシスのCPPDの原因もはっきりとわかっていないが、軟骨への鉄の直接の関与ではなく骨芽細胞のALP活性低下が関連していることが推測されている。(参考:Identification of Common Pathogenic Pathways Involved in Hemochromatosis Arthritis and Calcium Pyrophosphate Deposition Disease: a Review)
▪️治療?
(まとめ)
細胞外基質のPPiは適切な濃度であれば異所性石灰化を防いでいるが、遺伝的にAMKHの異常があったり、メカニカルストレスや電解質異常などでPPiの濃度上昇があるとCPP結晶を形成し沈着する。沈着後は関節内などに析出しマクロファージに取り込まれNLRP3の活性化やNetosisの誘発による炎症を惹起する。
参考文献: