膠原病内科日記

膠原病・不明熱・間質性肺炎に関して勉強します。X:https://x.com/rheumafuoild/

EULAR2023④ 強皮症間質性肺炎に対するTAC vs MMF RCT

先日ミラノで行われたEULAR2023のon demond配信をぼちぼち見れているので、自分の中でまとめる意味も込めて記事にしてみる。

強皮症肺

SSc-ILDに対するTaclolimus(TAC)とMMFのOpen labelのRCTの結果が公開された。

P:26人の進行性の肺疾患(FVC>10%低下)を持つSSC患者

I:TAC (トラフ4-10 ng/mL)

C:MMF 2g

O:24週時点でのFVC%の変化量

平均FVC%の変化量はTAC群で6.9%、MMF群では4.4%であった(P=0.5002で一応有意差なし)。

TAC群はすべての患者でFVC変化の安定化や改善を認め、MMF群では85%の患者で認めた。

mRSSの変化は両軍とも認めなかった。

重度のadverse eventは認めなかった。

 

(コメント)

TACはSSc-ILDに対してMMFと同等の効果(厳密な意味では同等性の証明はされていないが)を有することが小規模なTrialながら示された。妊娠可能年齢の女性などにはいいoptionになるかもしれないので今後の研究が待たれるところ。またTACは呼吸器内科でも広く使用されており、膠原病科以外のSSc-ILD管理の一助になる研究だろう。