アキレス腱炎といえば代表的な付着部炎で脊椎関節炎を想起してしまうが、関節リウマチでも起こしうる。
2022年に報告された早期関節リウマチ(152人, 罹患期間の中央値が1ヶ月)における足病変の超音波検査を検討した報告では、患者の足関節において65.8%の足関節に痛みを認め、
31%にアキレス腱の腱炎を、37.8%に付着部炎を認めた。
*付着部炎の所見はOMERACTの定義に従いtendon insertion pathology(おそらくPD、低エコー、肥厚のこと?)、エンテソファイト、びらん、滑液包炎が含まれた。
Common Conditions of the Achilles Tendon | AAFP
アキレス腱炎のEtiologyとしては16.8%に踵骨後面の滑液包炎を認めていたが、滑液包のみの炎症ではアキレス腱の炎症や付着部炎は一部分しか説明できないと思われた。
(RCBはRCBで先行研究で関節リウマチのアキレス腱付着部炎はRCBの滑液包炎が先行し付着部に波及していくことが報告されている byRetrocalcaneal Bursitis Precedes or Accompanies Achilles Tendon Enthesitis in the Early Phase of Rheumatoid Arthritis - PMC)
実際に関節リウマチに発症するアキレス腱炎のエコー像を見てみると、
三井記念病院より報告されているエコー像のように
付着部というより腱(あるいはパラテノン)そのものの炎症といった印象がある。
そこで、2023年に入りACPA自体が(おそらくPAD4を介して)アキレス腱への炎症細胞浸潤を引き起こすことがマウスレベルで報告された。
ということでRA(ACPA陽性)は病態的にもアキレス腱炎を起こしうる可能性がある。
(まとめ)
今回紹介した研究ではACPA+/-でアキレス腱の病変を比較検討しておらず、調べられる範囲ではまだ比較検討した研究はないと思うが、関節リウマチの病態的に付着部だけではなく腱炎自体が起こりうるようであるので注意が必要である。