膠原病内科日記

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全身性エリテマトーデスはくも膜下出血になるリスクが高い

アジア人の全身性エリテマトーデス(SLE)はくも膜下出血(SAH)になるリスクが高い。

 

最も大きいデータでは、

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

台湾のnational dataを使用した研究があり、

2000-2006年の間のSLE患者17404人とランダムに性別と年齢をマッチさせた16967人をコントロールに置いた研究。

SAHは642人発生し、コントロールと比較すると発生率の比は4.84であった。

さらにSAH発症後の死亡率も年齢層がSLE群の方が若いにも関わらず高かった(60.0% vs 38.9%)。

SAH発生のリスク因子は年齢・血小板輸血・赤血球輸血・PSL≧10mg/dayの使用が挙げられた。

*USのデータではSLE患者のSAH発生は一般人口に比較して低い傾向であった。(25704人のうち26人にSAHの発生)

Stroke subtypes among young patients with systemic lupus erythematosus

 

となってくるとこのSAHが動脈瘤性なのか、非動脈瘤性なのかが疑問に思うがこの論文には記載がなかった。

(参考)動脈瘤性SAH(NASAH)の原因

・中脳周囲NASAH
・occult 動脈瘤
・血管奇形
・動脈解離(特に椎骨脳底動脈解離)
・脳静脈血栓症
・下垂体卒中
・外傷性
・脳血管アミロイドーシス(高齢者)
・もやもや病
・RCVS
・血管炎

先行文献である小規模な単施設研究では、

Stroke in systemic lupus erythematosus

3人のSAH+SLEの患者が登録され全て動脈瘤関連であった。

Subarachnoid hemorrhage and systemic lupus erythematosus

自治医大からの報告で258人のSLE患者のうち10人(3.9%)にSAHが見つかり、5人の患者でSLE以外のSAHの原因が見つからなかった。血管造影を行なった4人中3人で明らかな動脈瘤を認めなかった。

ということで先行研究はすくなそうだが、動脈瘤性・非動脈瘤性SAHどちらも考慮しないといけなそうだ。

 

また最近でReversible cerebral vasoconstriction syndrome(RCVS)によるSAHを発症したSLEの症例も報告されており、RCVSによるSAHにも注意が必要である。

Non-aneurysmal subarachnoid hemorrhage in two patients with systemic lupus erythematosus: Case reports and literature review

(まとめ)

アジア人ではSLE患者においてSAHの頻度は多く、原因として動脈瘤・非動脈瘤・RCSVなどを想定する必要がある。