SAPHO症候群は、Synovitis(滑膜炎)、Acne(ざ瘡)、Pustulosis(膿疱症)、Hyperostosis(骨化過剰症)、Osteitis(骨炎)の頭文字を取り1987年に疾患概念が確立した症候群であるが、1994年にKahnらが分類基準に乾癬を加えたものを発表するなど、その実ヘテロな疾患をまとめた症候群である。
SAPHO: What radiologists should know
しかしながら最近では日本人のSAPHO症候群は掌蹠膿疱症骨関節症(PAO)が大部分を占めているのではないかと考えられている(そもそもPAOを報告したのは日本人で原点回帰的とも言える)。
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2017年にオンライン調査(GRAPPA survey)が行われた。全体でGRAPPAメンバー613人、日本の強直性脊椎炎難病班分担担当者26人、イスラエルリウマチ学会70人の合計703人に依頼し、78人の回答をもとにした研究がある。
83%がリウマチ医で11.5%が皮膚科、3.8%が整形外科。
→日本を含むアジアでは28人が回答し、最もprevalentな皮膚所見として82.1%が掌蹠膿疱症(PPP)を挙げている。
2023年に報告されたさらに症例数を増やした研究でも、全体の51%で掌蹠膿疱症が確認されている。→SAPHOの病型としてPPPの存在は重要であることが推測される。
上記のように日本人のSAPHO症候群の大多数はPPPをもち、すなわちPAOと考えることができる。掌蹠膿疱症性骨関節症の診療の手引きではPAOはSAPHOに包括される最小単位の一つとしている。
ちなみに同研究では83.4%に胸鎖関節の骨硬化を認めており、それも特徴的な症状である。
(コメント)
SAPHO症候群に関しては混沌としているが、日本人のSAPHOの大部分はPAOでありそうなので、PAOの特徴を踏まえながら診療を進めるのが大枠だろう。今後病態理解が進み、さらにSAPHO症候群の細分化が進めばいいと思う。