膠原病内科日記

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関節リウマチと回帰性リウマチにおける自己炎症病態

関節リウマチ患者で発作的なFlareを経験する患者がたまにおり、しかも関節炎というよりも周囲炎が多い印象であった。今回関節リウマチにおいても自己炎症的な病態の関与する例についてまとめた。
 
関節リウマチと自己炎症性
・関節リウマチにおいても関節リウマチの治療を行なっても発作などが改善しなかった患者4人でそれぞれNLRP3(54M RF+ACPA+)、MEFV(55F RF+ACPA+)、NOD2(50M RF+ACPA+)、NOD2(42M RF+ACPA+)の変異が確認された。それらの患者はコルヒチンやアナキンラに反応した。また1人は遺伝子検査は何も引っ掛からなかったがコルヒチンに反応を示す発作的なMCP関節と膝関節の腫れ(RF+CCP-)を認めた。NOD2異常を認めた2人はクローン病の罹患はなかった。

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

・関節リウマチにおいてアナキンラが効果を有する群があり、高疾患活動性・ステロイド使用なし/低容量・DMが特徴であった。

acrabstracts.org

 
回帰性リウマチと自己炎症
・回帰性リウマチ(RP; palindromic rheumatism)からRAに進展した患者の87%にRA診断後も間欠的な発作があり、30%は寛解しているにもかかわらず経験した。
・MEFV変異が多施設のRP患者の12%(65人中8人)で確認された。特にACPA陰性患者に多かった(23%)。
・コルヒチンがRPの症状緩和として効果があった研究もある(ようだ)

 

(まとめ)

関節リウマチにおいて自己炎症性疾患特有の遺伝子異常を持つ患者群が存在し、そういった患者群は自己炎症病態にアプローチが必要である。おそらく日常臨床で出会う前例のような患者はFMFなどの疾患のリスクになるような遺伝子を持っている、あるいはRPから進展したRAの可能性があると思う。実際にそういった方にはコルヒチンは一定の効果がある印象がある。

 

一方、回帰性リウマチは日常臨床では結構な割合で出会うが、その実典型的なものは少なく関節リウマチの初期を見ていることの方が多いと思われる。エコーや病歴・発作の仕方を注意深く観察し適切に診断していきたい。

 

(こちらも参考に)

rheumafuoild.hatenablog.com