(追記20230829)
2022 ACRで抗リン脂質抗体症候群(APS)の新基準のDraftが発表された(ACR convergence 2022 13S150)。
https://acrjournals.onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1002/art.42624
Entry:
下記の6つのドメインのうち最低でも1項目と3年以内に中等度~高度の抗カルジオリピン抗体/抗β2GPⅠ抗体(IgG/IgM)が陽性 *ELISAで40-79Uが中等度、≧80Uが高度
分類:
高VTE risk:
Major VTE risk factor(≧1)=悪性腫瘍、入院、大きな外傷、高リスク手術
Minor VTE risk factor(≧2)=活動性の自己免疫疾患/IBD、活動性の重篤な感染症、CV、ホルモン補充療法、長距離旅行、妊娠・出産後、長期の不動/低リスク手術
高CVD risk:
Major CVD risk factor(≧1)=重症HT、長期のDM、重度Dlp、CKD
Moderate CVD risk factor(≧3)=非重症HT、DM、Dlp、current smoker、高度肥満
2006年のサッポロ基準と比較して
感度は98% vs 86%、特異度は84% vs 99%であった。
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その中で臨床ドメインの副腎出血にfocusして他の鑑別疾患をまとめる。
一般的な副腎出血の原因として下記の疾患が挙げられており、論文中でも原因不明の副腎出血にはAPLのスクリーニングが推奨されている。APSにおける副腎出血は1%であり稀な症状だが、劇症型抗リン脂質抗体症候群(CAPS)では10-16%に見られるため注意が必要。
他にはTAFROに伴う副腎出血も報告されており、CAPSとの鑑別に注意する必要がある。
Fatal case of TAFRO syndrome with unilateral adrenal hemorrhage in early-stage disease - PMC
*一方で副腎梗塞もありうるので注意(Bilateral Adrenal Infarctions as an Initial Manifestation of TAFRO Syndrome: A Case Report and Review of the Literature - PMC)
APSに伴う副腎出血は嘔吐や腹痛を伴うことが多く、血圧低下も30%で見られた。
副腎不全が61%に見られ、47%が補充療法を受けた。58%が診断前に抗凝固治療を受けており、69%が両側性であった。
(まとめ)
原因不明の副腎出血はAPSも考える。またAPSとして治療中の患者に腹痛や血圧低下・吐き気が出現した場合にも副腎出血を考える。