膠原病内科日記

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EULAR2023 雑記① JAK1/TYK2 dual inhibitor

先日ミラノで行われたEULAR2023のon demond配信をぼちぼち見れているので、自分の中でまとめる意味も込めて記事にしてみる。

まずはUniversity of GrazのChristian Dejaco氏のClinical Highlightから気になったものをピックアップ。

 

JAK1/TYK2 dual inhibitor (LB0001)
・Zeng X らが報告したTLL-018(JAK+TYK2阻害薬)とTofacitinibの比較試験

・半数がbio使用歴あり、30%がJAK使用歴のある関節リウマチ

・平均52歳

・100人を1:1:1:1=TLL-018 10mg bid:20mg:30mg:Tofacitinib 5mg bid に割り付け

12週時点のACR50(primary endpoint)は驚異の65%越え!(48%:65.4%:72%:41.7%)

・MACEや悪性腫瘍発生なし

 

→TofacitinibはJAK1/3阻害がメインであるが、TLL-018はTYK2 も阻害するため効果が異なってくる。Late abstractの発表者曰く、TYK2阻害はIL17/23の活性化を阻害することで効果を発揮すると考察している。

 

Limitationとしては感染リスクに関しては過小に評価されている可能性やJAK抵抗性患者がエントリーされている可能性がある。

Cancers | Free Full-Text | TYK2: An Upstream Kinase of STATs in Cancer

Wöss et al. Cancers (Basel) 2019

 

⚫︎感想

SLEで効果の期待されるTYK2阻害薬だが、関節リウマチでも効果を発揮しそう。TYK2遺伝子の変異が関節リウマチに防御的に働くことが知られており、そこからこの効果が想起されたものと推測する(Diogo et al. PLoS One 2015)。

この結果通りならかなり効果の高い薬剤になるのでInternatinalな治験が進むことが期待される。