膠原病内科日記

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特発性血小板減少性紫斑病患者のSLE発症を推定するスコア

特発性血小板減少性紫斑病(ITP)患者からSLEを発症する患者群があり、無治療で経過観察している患者でも膠原病発症の可能性を考えフォローすることもある。今回ITP患者でSLEをどのくらい発症するかをまとめてみた。

 

参考:

Development of systemic lupus erythematosus in patients with immune thrombocytopenic purpura: A systematic meta-analysis

 

26の研究を統合すると14867人のITP患者が含まれ、311人(2.09%)がSLEを発症した。(一般人口と比較してHR 25!  by Zhu et al)
 
<リスク因子>
発症のリスク因子として統合した結果で女性(RR 4.23)ANA陽性(RR 26.29)が示された。
 
統合前の結果を細かく見てみると
女性、シェーグレン症候群(Zhu et al https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32241798/)
出産可能年齢での発症(Maquet et al https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33441296/)
ANA、SS-A陽性、低補体(Liu et al https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34610996/)
40歳以下の発症(OR 6.307)、臓器出血(OR 13.672)、ANA(OR 6.638)(Ahn et al https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36068638/)
ANA、Homogenous pattern、ANA>640x、低補体、LAC+、Hyper-γ、白血球減少、溶血性貧血(Alle et al https://ard.bmj.com/content/82/Suppl_1/1511.2)
が挙げられた。
 
<ITP発症後SLE発症までの期間>

Zhu et al→6年までは倍数的に増加、6年以降もじわじわと増加し12年プラトーに達する。

Liu et al→5年以内にプラトーに達する。
→最低でも5年は発症する可能性がある(ANA陰性の場合はほぼ発症していないが、、、)
 
<まとめ>
ITPは確かにSLEを発症しやすいが全体の2%であり、しかも長期間にわたって発症しうるためピロリ菌などの原因がない場合はリスク因子に合わせたフォローが良いと思われる。
以下の予測モデルなどを使用しながら患者と話して決定したい。