菊池病と自己免疫性疾患に関しては関連があるとされ、ケースレポートから後むき研究まで様々な媒体で報告されている。特に東アジア人の菊池病ではSLEの発症が多いことが知られている。
Kikuchi-Fujimoto Disease: analysis of 244 cases
181の研究+単施設の症例=244症例を検討した報告。
SLEの合併に関して記述のあった155人のうちSLEは26人(16%)で関連を認め、東アジア人では28%の関連でヨーロッパの症例より頻度は多かった。
また、MedlineとEmbaseを使用したSRでは自己免疫性疾患と菊池病のoverlapについて検討した43の研究が見つかり、N=103のうち以下の図のようなoverlapがあった。
この文献ではSLE以外にもSSや強皮症とのoverlapもそこそこの人数ありそうである。
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今回紹介する研究は中国の単施設での菊池病の再燃と自己免疫性疾患の発症に関して検討したものになっている。
単施設で480人の患者が含まれた(1995-2017年)。
54人(11.3%)で再燃が見られた。平均6ヶ月(range:1-6ヶ月)で再燃が起こり、平均年齢は28.5歳であった。37.0%が18歳以下であった。18歳以下に限定すると再燃率は13.2%であり、今回の研究では小児患者で再燃が多い傾向にはなかった。
節外症状(皮疹、筋痛、頭痛など)、リンパ球低下(<1500)、リンパ球低下の改善時間が長いことが再燃のリスクを高めた。
13人(2%)で自己免疫性疾患を発症した。10人がSLE、1人がシェーグレン症候群、1人がRA、1人がAOSDであった。自己免疫性疾患の発症は1ヶ月から5年で発生した。
自己炎症性疾患を発症した群では節外症状や再発率、ANA陽性率が高かったが有意な差を検討するパワーはなかった。
(コメント)
シングルセンターではあるが、かなり大規模な研究で、ケースベースではなく自己免疫性疾患の発症について検討された研究であり、貴重である。
本文にもあるように前向き研究で検討されるといいだろう。
実際菊池病が自己免疫性疾患に進展することはそこまで多くない印象だったので実臨床の実感とも合致する印象。その代わり再燃はそこそこいると思っていたが、文献によりまちまちだったので単施設での再燃率は参考になる。
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