SLEにおける稀な肺合併症として"Shrinking Lung Syndrome"がある。
Shrinking Lung Syndrome(SLS)は進行性の呼吸困難、(多くは片側の)横隔膜挙上、胸膜炎、画像上の肺容積減少(肺実質病変はないにも関わらず!)、拘束性換気障害を特徴とする疾患で、SLE患者の0.5~1.1%にみられるとされている。
女性に多く中央値は32歳(11-69)でSLE診断後少し時間が経ってから発症することが多い(66ヶ月 (0-374))。臨床症状では上記のような呼吸困難感は必発で、胸痛も多くの症例で随伴する(80%)。中には発熱を伴う症例もある(44%)。他に関節症状や皮膚・腎臓病変も一定の割合で合併する。
病態としては呼吸筋のミオパチー、横隔膜神経障害(神経麻痺だけでなくpleural-phrenic reflexの活性化による胸郭の運動低下もあるうる)、サーファクタント欠乏、胸膜炎による胸膜癒着などが考えられている。
2013年に食道内圧を含む呼吸機能検査をもとに報告された研究では胸膜炎症による呼吸の障害が生じ、それにともなって何らかの未知の肺実質障害が生じコンプライアンス低下がおき膨張減少のサイクルが起きる仮説をとなえている。
治療は定まったものはないがほとんどの症例でステロイドが使用された。
Shrinking lung syndrome and systemic lupus erythematosus: a case series and literature review
(コメント)
いざこの疾患を知ってみると思い当たるような患者がいる気もしてくる。気に留めておきたい。