先日行われた関東リウマチ地方会でEGPAと炎症性筋炎(の病理像)が合併した症例が報告されていた。実臨床でも他のANCA関連血管炎の筋痛や大血管炎に伴う下肢筋炎様症状の際にはCK上昇を認めないことが多いが、EGPAではCK上昇する例も散見されると思っていたため深掘りしてみた。
まず実際にAAVの筋生検の有用性を検討した研究でもEGPAでのみCK上昇が見られており、EGPAに特徴的な症状の可能性がある。
EGPAに関する韓国からの単施設研究では一般的に神経障害では障害されにくい近位筋の筋力低下を6/24で認めており、神経障害以外の機序も疑われる。
一方で病態に関してEGPAに合併する炎症性筋炎(not 血管炎)の報告自体は少なく現時点で検索できる範囲では4例ほどにとどまっている。*血管炎も含む筋障害は③の文献でreviewされている。CK上昇は血管炎の病理のみでも起こっている。
①74歳男性 重度のびまん性筋力低下
CK=3708 ANCA陰性
電気生理学的研究により、四肢すべての運動伝導と感覚伝導が保存されていることが実証された。針筋電図検査ではミオパチーパターンであった。
好酸球が豊富な壊死性血管炎+筋炎を示唆する萎縮した筋繊維、核の内在化、筋の貪食像などを認め、MHC class1の筋繊維での過剰発現を認めた。
②78歳男性 神経障害に先行する下肢の筋痛・筋力低下
CK=559 p-ANCA陽性
筋力低下の割に神経伝導検査で目立った異常なく、針筋電図検査では第 1 背側骨間筋、上腕二頭筋、内側腓腹筋、前脛骨筋に異常な自発電位が認められ、活動性のミオパチーを示唆した。
endomysium近くまでperivascularな炎症細胞浸潤を認め、筋炎に伴う筋壊死を示唆する筋繊維の萎縮と核の内在化を認めた。
A Case of Myositis Preceding Neuropathy in Eosinophilic Granulomatosis with Polyangiitis - PMC
③82歳女性
MPO-ANCA陽性
CK=2627
Eosinophilic granulomatosis with polyangiitis presenting with myositis: case based review
④スペイン語のため読めず
孫引き論文では71歳男性
CK=2245 MPO-ANCA陽性 endomysiumとperivascularに炎症細胞浸潤を認め筋炎に矛盾なし
[Churg-Strauss syndrome presenting as polymyositis]
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EGPAによる筋障害というとそもそも心筋炎の方が想起しやすい。
2020年に報告されたEGPAに合併した心筋障害のSRでは、16人に心内膜の生検が行われ、13人で好酸球性心筋炎の所見が得られた。また17%でANCAが陽性であった。
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(まとめ)
EGPAに筋炎は伴う可能性があるが、症例の蓄積が足りない印象。個人的には好酸球による筋障害がkeyだと思う。
実臨床においてEGPAの筋炎を検出するには詳細な電気生理的検査や針筋電図を行い脱力の原因を推測する必要を感じた。また近位筋の障害には注目したい。