膠原病内科日記

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【鑑別】血疱の鑑別

*いい参考文献がないためpubmedなどの検索結果見ながら小生作成

 

膠原病領域では好酸球増多を伴う水疱性病変、特に血疱は好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(eosinophilic granulomatosis with polyangiitis:EGPA)に特異的と言われている。が、調べてみると根拠が乏しいことがわかった。今回EGPAに随伴する水疱性病変・血疱に関して文献的に考察した。

 

Update on eosinophilic granulomatosis with polyangiitis

上記のReviewに記載のあるコホートの孫引きでも水疱や血疱の言及はなし。

Cutaneous Manifestations of Antineutrophil Cytoplasmic Antibody-Associated Vasculitis

AAVの皮膚症状に関して最大規模の研究でも言及なし。

→少なくとも大規模な研究では記載はなさそう。
 
case seriseやケースレポートは
・山田らの1995年から2004年の日本国内皮膚科からの報告28件のEGPAの報告では紫斑23、紅斑13、丘疹・結節12、水疱・血疱11(重複ありで、うち7例が血疱)、潰瘍3例であった。ANCAに関する記載は本論文中ではなかった(臨皮 59巻2号 2005年2月)
・女子医大皮膚科からの報告では血疱に関する記載はないが水疱はANCA陽性例に多かった。

Relevance of cutaneous manifestations and antineutrophil cytoplasmic antibody status in eosinophilic granulomatosis with polyangiitis

 
・一方で水疱性病変を呈する患者の報告はANCA陰性例で多かった(case report baseで4例中3例がANCA陰性)という報告もある。
 
これだけではなんとも言い難いか。
 
(コメント)
EGPAの血疱に関しては逸話的であるが、IgA血管炎の水疱性病変は全身症状が強い(これも根拠弱い)のと同じように血管炎の病勢とも関連していそうで今後調査する価値はありそう。
血疱ができる原因としては病理学的には水疱底部の破綻や真皮内への著しい出血が原因となり、血管周囲の間質への炎症細胞浸潤が著明であることが多い。紫斑の場合は浅層〜中層に止まるのでより血管炎が重症となると考えればANCA陽性例で多いのかもしれない。またEGPAではANCA陰性の場合バリアタンパクをコードするGPA33と遺伝的関連があるとされ、それによる水疱形成も示唆されている。