膠原病内科日記

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リツキシマブで寛解導入されたANCA関連血管炎の12%が3ヶ月の時点でRTX抵抗性だった

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

2010年〜2020年にかけてフランスの3施設の血管炎コホートに登録された、リツキシマブで寛解導入されたAAV(Chapel-Hill 2012 criteriaでMPA or GPA)を後ろ向きに検討した。
 
RTX抵抗性は以下の2つに定義された。
 
uncontrolled disease:治療開始1ヶ月の時点でBVASに新しい項目が出現したり、BVASが悪化・変化がない場合
・disease flare:寛解が達成できたかどうかは関係なくBVASが1点以上増加した場合

 

他、活動性に関わるところとして
寛解:BVAS=0
・VAS≧3の場合、severe diseaseと定義された。
 
3ヶ月目に寛解を達成できなかった(BVAS>0)が、追加の治療を受けずに6ヶ月の時点で寛解を達成した患者は除外された。
 
121人の患者が参加し、5人の患者が3ヶ月目の時点で寛解を達成できていないが無治療で6ヶ月目に寛解認め除外した。
baselineのキャラクターとして
GPAが65%、MPAが35%
初回導入が33%、再燃での導入が67%
・BVASは中央値5(IQR 3-7)
・治療の面では53%がステロイドパルスをうけ、11%でPlexをうけた。初期プレドニン量は中央値60mgであった。
・82%がST合剤の投与があり、70%が肺炎球菌ワクチンを受けた。
全ての患者で3ヶ月時点のCD19+Bcellの枯渇が確認された
結果的に3ヶ月の時点で14人(12%)の患者uncontrolled diseaseであり、9人はsevere diseaseであった。
3ヶ月時点のRTX抵抗性を示す患者はステロイドパルスを受ける頻度が低く(21% 対 58%、P < 0.01)、3ヶ月時点でのステロイドの容量が多かった(28  mg対 15  mg、P  <  0.05)。またRTX抵抗性を示す患者は局所的な臓器病変を持つものが多かった(43% 対 18%、P < 0.05)。baselineのキャラクター、血管炎のタイプ、ANCAのタイプ、初回or再燃、臓器障害で有意差はなかった。
 
追加の治療として、14人の患者のうち7人が追加の免疫抑制剤をうけた(CYC 4人、PLEX 3人、IVIG 2人)。7人がステロイド増量のみで対応された。最終的に6ヶ月時点で14人全員の患者で寛解を認めた
 
RTX抵抗群で心血管イベントや重篤な感染の頻度は多かったが有意差を検出するパワーはなかった。
 
(コメント)
RTXで寛解導入したAAV患者は12%で治療抵抗性を示した。またRTX抵抗性の患者は合併症が多い傾向にあることも示された。
実臨床でもパルスをしていない人(できない人)で燻ることが多い印象がある。ステロイドパルス自体は観察研究ではあまりbenefitを示せていないが、head to headのRCTがない状態であり、患者の状態を見ながらパルスを行うかは選択していきたい。