膠原病内科日記

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蕁麻疹を伴わないようなMタンパク血症+繰り返す発熱→MGARF?

MGARF:monoclonal gammopathy, arthralgias, and reccurent fever syndrome
Sophie Georgin-Lavialleらが2019年に提唱した、皮疹を伴わないschnitzler syndrome(SS)のような疾患。
元となった研究では、
・自己免疫性疾患の疑われた患者の登録されるCEREMAIA databaseにおいて751人中16人のMタンパクと再発性発熱の患者が登録されていた。
・うち6人がSS、他は1人ずつFMF、CAPS、HUV、腎細胞がんの診断となり、5人の患者が残った。
 
・その5人の患者を検討していくと
3-12日間程度の発熱が年に数回以上繰り返し、同時に筋痛と関節症状を伴っていることがわかった。

・1人の患者でMEFV遺伝子とTNFRSF1A遺伝子を、2人の患者でMEFV、TNFRSF1A、NLRP3、MVK、NLRC4遺伝子の検査を行ったが陰性であった。

・その患者たちは蕁麻疹様皮疹や骨病変を伴っておらず、SSとも違った症候を示したため筆者らはMGRAFとして疾患概念を提唱した。


(コメント)

蕁麻疹を伴わないSSも存在はしていそう。ただ、追試は検索した限り無いので疾患単位として取り扱いは注意が必要。発熱は稀ではあるが多発性骨髄腫などの可能性もあるか(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/12038950/)。

 

(参考)schnitzler syndromeの診断基準
①Strasbourg基準
必須項目
1. 慢性蕁麻疹
2. モノクローナIgM/IgG 血症
補助項目
1. 間歇的発熱
2. 骨髄炎,骨異常
3. 真皮内好中球浸潤(皮膚生検)
4. 白血球や CRP の上昇

IgMの場合、必須項目 2 つと補助項目 2 つ
IgGの場合、必須項目 2 つと補助項目 3 つ
 
②Lipsker基準
必須項目
1. 慢性蕁麻疹
2. モノクローナIgM/IgG 血症
補助項目 
1. 間欠的発熱
2. 関節痛、関節炎
3. 骨痛
4. リンパ節腫大
5. 肝脾腫
6. ESR上昇
7. WBC上昇
8. 骨異常
→必須項目+補助項目2個以上