膠原病内科日記

膠原病・不明熱・間質性肺炎に関して勉強します。X:https://x.com/rheumafuoild/

ヒドロキシクロロキン(HCQ)の作用機序

Key point
CQ/HCQは弱塩基であり、リソソームや炎症細胞の中で蓄積されている
CQ/HCQは分布が大きく半減期が長いために、ゆっくり効果が発現し、服用を終えても効果が延長する
・分子レベルでは、CQ/HCQはリソソームの活性とオートファジーを阻害する
・細胞レベルでは、TLRのシグナル・サイトカイン産生・T細胞におけるCD154の発現を減らし免疫活性を抑えている
 
構造
CQ/HCQは4-アミノキノリンの芳香族が基本構造、側鎖はどちらとも塩基
・この側鎖の塩基によりリソソームなどの細胞内への蓄積に寄与していると考えられている

 
Mechanism of action

・HCQはpHの勾配でリソソームの中に入りPHを上昇させて、エンドサイトーシスやファゴサイトーシス、内部のオートファジーを抑える
結果的にリソソーム活性を抑えることでMHCclassⅡの抗原提示を抑制することになる

・HCQはエンドソームの中で蓄積しpHを変化させることでRNA/DNAとTLR7/TLR9との結合を阻害しシングナル伝達を抑制している
・HCQは細胞内の核酸センサーであるcGAS-STINGを阻害する
TLRシグナルとcGAMP-AMPを阻害することでtype1 IFN含めた炎症性サイトカインを低下させることになる

樹状細胞やBcellにおいて抗原の処理とMHCclassⅡの抗原提示を抑え、CD154などの共刺激分子の発現を抑えることで、BAFF、IL6、TNF、IL1などのサイトカインの産生を抑える
 
吸収・分布
・2つのバイオアベイラビリティーは0.7-0.8倍
・HCQの吸収から血中分布の時間は0-0.85(0.43h)
・一度吸収されると半減期は40-60日ある
・リンパ組織・免疫細胞・骨髄・滑膜組織・その他結合組織の濃度は分からないが、HCQはメラニンと結合するために網膜症に至るといわれている(一方皮膚にもメラニンが多く、皮膚病変に効きやすいとも言われる)
*妊娠と授乳
・最近のガイドラインでは妊娠の自己免疫疾患ではHCQの維持療法を強く推薦している
・母乳の移行はあるが胎児の副作用と関連はなし
・HCQは妊婦授乳中に安全に使用できる