上肺野優位病変を示す疾患の覚え方として"CASETT-P(カセットP)"が知られている。
C:嚢胞性線維症、慢性過敏性肺炎A:強直性脊椎炎、網谷病S:サルコイドーシスS:珪肺(Silicosis)E:ハンゲルハンス細胞組織球症P:ペンタミジン吸入中に発症したニューモシスチス肺炎(PCP)
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4620352/
・上記のような空洞影を伴うような進行性・線維化病変が特徴的で、結核などの感染と間違えれられたり、実際に合併することも多い。
・1028人のAS患者を含む10年間の前向き研究では、2.1%がAFBDを発症した。この研究では男性に多く(50:1)、片側性も両側性もありうる。
https://journal.pulmonology.ru/pulm/article/view/824?locale=en_US
・メカニズムに関しては
①胸郭の動きが低下することで肺底部は過換気に、 肺尖部は低換気になることで気道クリアランスが低下し、慢性感染を引き起こし発症する(メカニカル理論)
②関節症状とパラレルに進行することが知られており、疾患特異的な症候として発症する(疾患特有理論)
の2つが考えれているが、詳細なところはわかっていない。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4620352/#B2
・肺病理では炎症細胞(リンパ球)浸潤と線維化が見れている。
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S1297319X0400106X
・治療に関しては無治療ですむことが多いが、中には進行してしまう症例もある。しかしながら全身症状がない中での免疫抑制剤の使用が進行抑制に寄与するかはわかっていない。
https://www.hindawi.com/journals/crirh/2020/8852515/
・実際にトルコの研究では27人のTNFを使用したAS患者におけるTNF阻害薬使用とHRCT、PFT関連性は見出されなかった。
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1111/crj.12388
(まとめ)
ASに伴い肺尖部中心に線維化が進行するapical fibrobullous disease (AFBD)が見られることがある。