膠原病内科日記

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IVIGによる一過性の特異抗体陽転化

IVIGでHBs抗体やHCV抗体が一過性に陽性になったりβDグルカンが陽性になることがあるが自己抗体の陽転化に関してはほとんどわかっていなかった。
Modern rheumatologyに2022年に掲載された東大病院臨床検査部からの報告でその一部が明らかとなった。

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

2018/8~2019/12までに提出されたIVIGを受けた患者血清の残りを使用した研究。8人の患者患者におけるIVIG投与後の自己抗体の陽転化を検討した。
 
全ての患者でSS-A抗体(FEIA法)が陽性となり、GAD・サイログロブリン・TPO抗体はもともと検出されていた1名を除いて全て陽性となった。
他のRNP・Sm・dsDNA・ssDNA・MPO-ANCA・PR3-ANCA・TRAb・CLIgG・AchR・MUSK・Dsg1・Dsg3抗体に明らかな変化は認めなかった。

 

投与後の自己抗体の変化は5人でモニタリングすることができ、SS-A抗体は投与10-20日で半減し、25-30日で陰性となった。
自己抗体陽転化による身体症状の出現はなかった。

 

<コメント>
wikipediaによるとIVIG療法は1000人以上分の血漿を使用しているとのことで有病率の高い疾患の抗体は陽性になってしまう(免疫グロブリン療法 - Wikipedia)。特にSS-A、Tg、TPO、GAD抗体は陽性になりやすいため注意が必要。また他の抗体でも微妙に陽転化するものはありそうなためIVIG後1ヶ月は自己抗体の測定を控えた方が良い。