膠原病内科日記

膠原病・不明熱・間質性肺炎に関して勉強します。X:https://x.com/rheumafuoild/

不明熱の発熱パターンと原因疾患

ベルギーから不明熱診療の一助になる必見論文が出版された。

罹病期間による不明熱の鑑別 - 膠原病内科日記の別解析と思われる。

 

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

1949床のベルギーの三次医療機関で行われた2000/1~2019/12の間に長期間にわたる炎症/発熱状態の患者が前向きに登録されたコホートから。
P:ベースラインの検査で診断の付かなかったFUO/IUOの成人患者
*HIV患者や免疫不全状態、院内発熱は除外
 
再発パターンの定義:"FUO/IUOが少なくとも2回発生し、発熱・炎症のない間隔が2週間あり、それは治療と無関係に起きる"と定義された。
持続パターン:再発パターンでないことと定義された。
重要な発見3つ!
❶602人のFUO(489人;81%)/IUO(113; 19%)が特定され、再発パターンが140人(23%)・持続パターンが462人(77%)登録された。(再発パターンが20%もいた!)
最終診断は404人(67%)で確立され、再発パターンの59%、持続パターンの69%であった。非感染性炎症性疾患29%、悪性腫瘍14%、感染症14%、その他(薬剤熱や痛風誤嚥性化学性肺臓炎、OPなど)10%であった。

 

❷ロジスティック回帰解析では再発パターンでは感染性疾患の可能性が有意に低い(OR 0.35)ことが明らかになった。非感染性炎症疾患も可能性が低く(OR 0.21)、腫瘍性疾患やその他の疾患は有意な差はなかった。
再発パターンでは診断までの時間がかかり診断が遅れやすいことが明らかになった(中央値 9週vs45週)。
 
<コメント>
この図が全てではないが不明熱診療にとても参考になる図。初学者はこの図とサプリの疾患集をみながら鑑別進めてもいいくらいだと思った。注意点は論文にも書いてあるが発熱パターンだけでrule outしないこと。
 
個人的にはPSCを不明熱の鑑別であげることはなかったので勉強になった。
また当科疾患的なところでいくと高齢のSLEは不明熱化しやすいので注意したいがちょうどリンパ腫と近いところなので厄介だと思った。