膠原病内科日記

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骨痛の原因

<マクロ>
痛みの経路

 

 

骨は主にCGRP+C線維とAδ線維によって支配されている。またNGFを媒体するTrkA(トロポミオシン受容体キナーゼA)受容体を発現する骨支配神経ニューロンは関節や皮膚・筋肉など他の組織の神経を支配するニューロンよりはるかに高い。これはNGFシグナルが骨軟骨前駆細胞の拡大に不可欠であることとも関連している。
 
骨痛を起こす疾患
骨折
感染
自己免疫(AS、RA、OAなど)
腫瘍(転移性腫瘍・白血病・骨腫瘍・Paget病)
虚血(骨壊死)
内分泌(hungry bone syndrome)
薬剤(BP製剤のACR) など
 
 <ミクロ>
3つの主な細胞と骨痛への役割
破骨細胞:骨吸収による酸性環境は骨を支配する侵害受容神経を刺激する。また前破骨細がPDGF-BBを分泌して血管新生を促進し軟膏下骨の血管新生と感覚神経支配亢進で痛みに関連している可能性がある。
・骨芽細胞:破骨細胞ほど直接的な影響はなさそうだが、neurotrophic factorsの分泌低下を通して感覚神経にとって不利な環境を作ったり、破骨細胞の調整を通して間接的に感覚神経に影響を与える。
・骨細胞:nerve groth factorsを産生する。
 
痛みの原因
⚫︎破骨細胞・・・多くの骨格疾患の痛みで亢進している
⚫︎骨芽細胞・・・カムラティ・エンゲルマン病(CED) では骨芽細胞活動増加が示されている。ステロイド投与による骨芽細胞活性抑制により迅速な痛みの改善があり、骨芽細胞の潜在的な役割を示唆している。
⚫︎感覚神経・・・進行骨化性繊維異形成症(FOP)でが異所性骨化している部位で感覚神経支配の亢進が検出されている。この神経はサブスタンスPやCGRPを放出することで神経炎症を開始することができる。
⚫︎交感神経・・・CRPSでは交感神経の調整不全で血管収縮と拡張のバランスが崩れ骨代謝への血液供給に影響する。また交感神経亢進による破骨細胞亢進も慢性的な骨痛を引き起こす。
⚫︎炎症細胞によるサイトカイン・・・RAやAS、がんの転移、骨折後の疼痛に関連している。
 
(参考)