膠原病内科日記

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トシリズマブ使用中に感染症を示唆する症状がある場合には好酸球に注目することで感染症を予測できる、かも?

デザイン:
単施設・後ろ向き研究
トシリズマブ(TCZ)使用中に感染症の疑いで予定外の入院した患者(2009-2020)
好酸球数、CRP、好中球数、、リンパ球数、Eo/Nx1000の識別能をAUCで評価した。
 
リザルト:
TCZで治療を受けた163人中41人が予定外の入院をした。
年齢の中央値は59歳(IQR52-66)で82.9%は女性であった。
20人(48.8%)が感染症と診断された(肺炎30%、関節・骨感染症25%、消化管感染症15%、4人(20%)で菌血症を伴っていた)
入院時の好酸球感染症で有意に低かった。

→Eo<40 /mcLでは感度50%、特異度91%で感染症を示唆した。
CRP>0.5mg/dLは感染症の半数以上(11/19)で観察されたが、非感染症グループでは3/20であった(感度 58%、特異度 85%)

好酸球/好中球<11.8であることはCRPよりも精度が高く感染症であることを予測した。
 
おまけ:
健常者における感染性と非感染性の鑑別→好酸球<40/mcL感染症を示唆した。
septic arthritis vs crystal arthritisにおいて好酸球減少(<50/mcL)は感度50%、特異度76.9%、PPV63.4%でseptic arthritisを予測した。好酸球減少(<50/mcL)と好中球>10500/mcLと組み合わせると感度29.8%、特異度88.5%、PPV73.9%であった。
 
<まとめ>
好酸球が40~50以下であることは感染症を示唆しそうである。TCZ使用中でもちゃんとした感染症の場合はCRPが上がってくる印象があるが、CRPが上昇しないレベルでは好酸球にも注目したい。
TCZ使用中にCRPが上がる条件など(感染症の種類で上がるのか?、投与した時期によるのか?)などは今後の検討課題だろう。